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本というものは   

2004年 10月 19日

本というものは_a0002942_0474310.jpg奥が深くて、ある意味底なし沼である。なかには「活字中毒」と呼ばれる程の活字好きもいて、寝ても覚めても何かを読み続けている。知人がまさしく活字中毒者なのだが、ここまでくるとなにやら羨ましいやら、気の毒なのやらよく分からない。が、いっそ天晴と言ってやりたい。
この知人は、活字であれば観光チラシだろうが医学書だろうがお構いなしの節操無しだが、もうひとりの知人はとある珈琲専門店のマスター。
「活字中毒」という程のものではないが、独特な読書観をお持ちである。
店に足を運ぶようになってまだ日も浅い客の私に
「死ぬまでにどれだけの数の本が読めると思います?」と語り始めた。

「さあ。数えたことないですけどね」
と、私。

「それが僕、数えたんですよ。
月間で読む本の数がだいたい40冊くらいでしょ。かける12ヶ月で1年で480冊。
寿命が80年だとして、老眼や病気の寝たきりを考えると70歳くらいまで読めればいい方でしょ」

なにやら話がえらい方向へ飛んでいる。

「…するとあと三十数年だから480冊かけてウン冊になる訳ですよ。
たったこれだけですよ?
僕はあとウン冊の本の世界しか知らずに死んでしまうかと思うと、僕の人生が可哀想になりましてねえ。
せめて年間ウン冊は読もうと決めたんですよ」

左様でございますか…
まるでノルマ達成に闘う営業マンのようであるが、読書好きであることは間違いない。このマスターに触発された訳でもないが、日本語の活字の本だけでもえらい数の中で、自分の生涯の中で触れることのできる本は確かにほんの一部だ。そのほんの一部が自分の心を育む作品なのである。限られた数の中でも、やっぱりいい本に巡りあいたいものだ。
だから本屋での品定めも、心を動かす本との出会いと思うと胸が躍る。

注*読書数を当人から間違いの指摘を受けて訂正しました(笑

by cafe_europa | 2004-10-19 00:54 | think

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