カテゴリ:other books( 10 )   

【ダーリンは外国人】小栗左多里   

2004年 07月 04日

a0002942_172546.jpgタイトル通り外国人と結婚した日本人の漫画。
私自身はなかなか漫画を読まないが、本書はエッセイぽい漫画になっていて、日頃読まない人でも読みやすいのではないだろうか。その手のエッセイならよくあるので似たようなものかと思って読んだが、「外国人」というより(日本人からみて)「一風変わった個性の人」とのコミュニケーション的な内容で、逆にそれがよかったかんじ。更には当人が「外国語オタク」で日本語のウンチクを垂れているあたりが個人的に興味深い。漫画なので引用がむつかしいが、日本語に興味を持つネタにはちょっと面白いかもしれない。なによりも著者のアッサリした性格が漫画を読みやすくしている。

総合評価★★☆☆☆(★5が最高)

■書籍情報
ダーリンは外国人
ダーリンは外国人2
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by cafe_europa | 2004-07-04 17:27 | other books

【骨董市で家を買うーハットリ邸古民家新築プロジェクト】服部真澄   

2004年 06月 13日

a0002942_164912.jpgなんと 【バカラ】【龍の契り】の服部真澄氏の家作り奔走記だ。
「骨董市で家を買おうと思うの」
ある日、「掘り出し物」に弱いカミさんに連れられて、作家の夫は東京古民具骨董市へ古民家を買いにでかける。

骨董市の一角で「民家の販売・移築いたします」と大書きされた札をつるした「ひなた美術」。氏はここで北陸の民家を買い、東京の一角へ移築工事を始めるのだ。
遅れる工期、足りない材料、折角ならあれもやろうこれもやろうと膨れる予算を前に、自分たちの「最高の住み心地の家」を求めて奔走する氏の筆遣いが楽しい気分にさせてくれる。家が完成した直後は満足しつつも、屋根のこう配と部屋の仕切りのために二階の風通しが悪くてかなり暑いなどと「ああしておけばおかった」と後悔しているのが面白い。

読み進めてふと気づく。主人公は一人称である作家の夫の「ぼく」、配偶者は「カミさん」。

しかし服部真澄は女性ではなかっただろうか。

著者近影も見た事があるから、女性であることはまちがいがない。本書はエッセイかと思いきや、エッセイにフィクションで視点を切り替えた「小説」なのである。一人称で筆を進めながらも、冷静な観察もうかがえる文章であるが、【龍の契り】で直木賞候補、【鷲の驕り】吉川英治文学新人賞受賞の氏の理知的で、迫力のあるクールな文章が本書では軽快でもの柔らかい筆致で、はじめは同じペンネームの別人と思って購入していたのだ、実は。
最期のシメの一文で、書斎の向こうにいる妻が夫の言い訳をしている。
「どうにもこうにも、居心地がよすぎまして、ええ。こんどの家では、なかなか、原稿が捗らないんですよぅ…」

これはどう考えても本人の言い訳なんじゃないだろうか。



総合評価★★★☆☆(★5が最高)

■参考
古民家再生日記
信州の古民家再生・移築を行う(株)鮫島のblog
カール・ベンクス & アソシエイト
日本の古民家を愛するドイツ人建築家のHP
日本民家再生リサイクル協会
古民家を保存・再生するNPO団体のHP

■書籍情報
骨董市で家を買うーハットリ邸古民家新築プロジェクト
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by cafe_europa | 2004-06-13 16:50 | other books

【ゾウがすすり泣くときー動物たちの豊かな感情世界】ジェフリー・M・マッソン&スーザン・マッカーシー   

2004年 06月 13日

a0002942_16459.jpg動物にも優しい愛情があり深い悲しみがある-。科学者たちにタブー視されがちな動物の驚くべき感情世界を多くの実例をあげて実証、人間と動物とが、支配・被支配の関係を脱し、種の壁を越えて心を交わせるための道を提示する。(「MARC」データベースより)

動物には感情がある。
これは全ての動物愛好家が自らの体験を元に知っている周知の事実だ。それをわざわざハードカバーの、しかも翻訳本として出版されているのはどんなものだろうかと思って買ってしまった。初版が1996年とあるが、どうやらネタ的にはもう少し前の時代であるようだ。当時の科学者として「人間以外に意識を持つ生物は存在しない」というのが前提だった頃、<動物達が見せる相違と融通性に富んだ行動は、単なる反射的な行動ではなく、ある意味で「意識的な行動」>(本文抜粋)として、動物の意識や感情を認識する動きの延長線上にあるのが本書であるらしい。
読者は当然素人だから内容はやさしく書かれているが、本書であげられる意外な事実に驚くだろう。ペットにネズミを飼うゾウ、赤ん坊が生き返るのを待つチンパンジー、夕陽をうっとりと眺めるクマ、スケートをするバッファロー、思ったことを言葉にしてしゃべるオウム、自分で遊びを考え出すイルカ。
今まで何の気なしに当たり前と思っていたことを事実と考察を交えて語られると、時折ハッとする。

総合評価★★★☆☆(★5が最高)

■書籍情報
ゾウがすすり泣くときー動物たちの豊かな感情世界
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by cafe_europa | 2004-06-13 16:46 | other books

【絶対音感】最相葉月   

2004年 03月 31日

a0002942_02434.jpg小鳥の囀りも救急車のサイレンも「ドレミ」で聴こえる。でたらめに叩いたピアノの、鳴っている音が全部わかる。ポップスを聞いていても歌詞が頭に入らない。和音が鳴ると目の前に特定の色が浮かぶ。戦時中、爆撃機の機種や高度を当てる訓練があった。作家パステルナークはそれがないために音楽家を諦めた。日本人にはその能力をもった人が非常に多い、「絶対音感」の正体とは何なのか…。第4回「週刊ポスト」「SAPIO」21世紀国際ノンフィクション大賞受賞。(「BOOK」データベースより)

絶対音感とはなんなのか。
提示された音に対して音名が分かる、逆に音名から特定の音階を指定することができる能力のことである。絶対音感といっても訓練の受け方しだいでばらつきも実は出る。全ての音階に素早く反応できる人から、音によって反応が鈍くなる(思い出すのに時間がかかる)人まで様々だ。
音を音そのものとして聴くよりも音名という言語に変換されているので、絶対音感の持ち主の周囲はさぞ騒々しいことだろうと筆者は想像する。実はわたしも若干そのうちの一人に入る。いや、入っていたというべきか。幼い当時は絶対音感レッスンが流行っている頃で、適性がたまたま合ってしまった私は、かといって特別なにがしかの音楽の才能があるわけでもなく、思春期に至ってはかなり苦痛を感じたものである。

たとえばA(ラ)はこの音だと体に叩き込まれる。数値で表すと440Hzの音階である。すると調律が狂っている楽器がA(ラ)を鳴らすと、これはわたしには認識できない気持ちの悪い音なのだ。カラオケなどを聴かされた日には、はじめは頭痛や吐き気をもよおしたものである。私の場合は白鍵の訓練から始まったせいなのか、黒鍵の音の反応はかなり鈍い。世間で聞くところの絶対音感の人のエピソード程壮絶ではないが、音楽を聞きながら本を読んだりすると頭が混乱してくるくらいには惑わされた経験がある。かといって音楽的な能力があるかというとそうでもないのだ。絶対音感の持ち主は結構音楽的な適性を見いだしている人が多いなかでは不幸な立場であったが、関連性はあっても、絶対音感=音楽的才能にならないのは間違いがない。少なくとも昔は音楽が実は好きではなかった。今ならそう言える。楽器を奏でても作業をしてるだけで、実は楽しくもなんともなかった。

ひととき日本は絶対音感を、獲得できる音楽の才能として褒めそやす時期があった。そこに本当の音楽性の理解、共感はあったのかと著者は問うている。絶対音感と音楽性とは別のものであり、世界で活躍中の絶対音感の持ち主の音楽家たちは絶対音感に捕われてはいない。私自身もある音楽に感動したきっかけに音を聴くチャンネルだけではなく、音楽を聴くことのできるチャンネルを獲得した。音楽の本質とは音階の数値のみに顕われるものではないと著者は最後に語る。わたしも今では絶対音感は薄れ、ほとんど存在を思い出さなくなっている。その代わり音楽を楽しむことができる。目に見えない「音」だけに、言葉で表すのはむつかしい音楽であるが、絶対音感の切り口から教育現場の混乱や音が体に及ぼす生理的影響など、実に多方面からアプローチして音楽の本質を鋭く切り出し、我々にしめしたのが本書である。

総合評価★★★☆☆(★5が最高)

■書籍情報
絶対音感
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by cafe_europa | 2004-03-31 00:23 | other books

【バスで、田舎へ行く】泉麻人   

2004年 03月 27日

a0002942_221144.jpg田舎の停留所でバスを待ち、谷川の傍らでパトロール飛行するオニヤンマを待ちぶせする…。仄かに夏休みの田舎の光景が回想される、「ローカルバス紀行記」。『旅』に掲載されたものに加筆しまとめる。(「MARC」データベースより)

北は北海道宗谷岬から南は種子島まで、田舎の風景を探すローカルバス紀行である。おしながきにチャーハンではなく<焼き飯>と書かれてある食堂。注文してみると焼き飯→チャーハン、ラーメン→中華そば…いちいちメニューを言い換えて厨房へオーダーする若い店員。まるでクラブにいるかのように<こきりこ節>を踊る民謡保存会の茶髪の若者達、紐差の教会で何故か展示されている鯨の性器…地方の歴史をおりまぜつつ、現地でのバス旅行風景がなんとものどかに、ちょっとおもしろおかしく描かれている。

田舎のバスはなかなか来ない。なかなか来ないことにいらだちながらも、そんな「なかなか来ないバス」を待つような旅を、僕はちょっとしてみたかったのである。(本文抜粋)
あとがきの<なかなかこないバスを待ちながら>では、原型が小学校の夏休みの日記であると書き出されている。たしかにどこかに懐かしさを感じさせる紀行である。挿入されている写真にも、のんびりとした旅の風景がイメージを膨らませる。モノクロであるのが少し残念だが。旅行が好きでない私にもカメラと地図を持って、どこか旅に出たくさせる本である。

総合評価★★★☆☆(★5が最高)

■書籍情報
バスで、田舎へ行く
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by cafe_europa | 2004-03-27 22:11 | other books

【オトナ語の謎。】糸井重里・編集   

2004年 03月 20日

a0002942_194734.jpg社会人が何の気なしにつかっている、仮に社会人専門用語とでも言おうか、<オトナ語>。こんなにアヤシイ日本語が氾濫している社会人って、一体なんだろう。改めて読んでみると、学生にとっては思わず後ろに引いてしまうようなおかしさに違いない。
私の個人的な例では<折りtel>。当然、電話を折る訳ではない。折り返し電話するの意。よその職場では<C.B(コールバック)>とも言い、こちらはまだ普通。業界や会社によっても微妙に変化しているようで、職場が変わるごとに、微妙に違うこの怪しい日本語に慣れていくのだろう。これがうっかりプライベートでも出てしまうと、家族に意味が伝わらないことも多い。

「直行直帰」これは幾多の修羅場をくぐり抜けたオトナ中のオトナしか会得できぬ必殺技であり、新人がマネすると取り返しのつかないことになるから注意。

このコメントもなかなか笑えて、いい。ちょっと皮肉りつつ、社会人の不思議な体質を笑い飛ばしながら読めるのが、本書の魅力ではないだろうか。是非とも新社会人研修にでも使ってほしい本である。

「要は、クリティカルなアイテムがマストかと思われます」
…しかし、これはさすがに私は使いません。

総合評価★★★★☆(★5が最高)

■書籍情報
オトナ語の謎。
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by cafe_europa | 2004-03-20 19:47 | other books

【陰翳礼讃】谷崎潤一郎著   

2004年 03月 07日

a0002942_16548.jpgさすがに耽美な世界である。10年前に初めて読んでから、久しぶりに読み直した 。耽美小説はあまり好んで読みはしないが、本書は別格であり、時々忘れた頃に何度も読み直している。
当時は物の見方の切り口に驚いた覚えがあるが 、 今なお読み直しても新鮮 。日本の建築様式を素材として日本とその他の文化の世界観の違いを美しく語っている。全てが共感できるわけではないが、始まりから終わりまで、自分の美学を感性と理論と行動で貫き通すその姿には脱帽だ。
本格的な長編作品にまでいくと肌にあわないのでちょっとツライが 、こちらは苦手な人でも入門書として入れるのではないだろうか。

総合評価 ★★★★☆ (★5が最高)

■書籍情報
陰影礼賛
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by cafe_europa | 2004-03-07 16:53 | other books

【空の青さをみつめていると】谷川俊太郎   

2004年 03月 07日

a0002942_164234.jpg戦後の日本詩人を代表する巨匠。明治の詩人に比べると、遥かに身にしみやすい。時代や文体もあるだろうか。作品全体を通して共通しているのが透明感。特に「空」や「秋」「宇宙」「古いもの」のモチーフはとても美しく、絵画的な感銘を受ける。
…かと思いきや、男性詩人にありがちな女々しさについ蹴りを入れたくなったりする私は、やっぱり情緒に欠けるのかもしれないが。

総合評価★★★☆☆(★5が最高)

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空の青さをみつめていると
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by cafe_europa | 2004-03-07 16:41 | other books

【ゴーゴー・インド】蔵前仁一   

2004年 03月 07日

a0002942_163434.jpg「ゴーゴー〜」とくる紀行エッセイを覚えている人もいるのではなかろうか。12〜3年前、当時はバックパーカー流行の中盤にさしかかっていた頃。バックパーカーのエッセイの出版ラッシュの中でベストセラーになっていた本である。当たって紀行エッセイのベストセラー入りをしたのはインドの前作【ゴーゴー・アフリカ上下巻】。当時インドに行きたいが、恐れをなしてタイで穏便な旅行をしていた根性なしのわたしの心を安らげてくれた本である。
紀行文は色々あるが、彼の文章は浅く軽く、茶目っ気にあふれたところがいい。彼の本は2〜3冊除いてほとんど持っているのが本日判明。だんだん魔窟と化してきた蔵書の山である・・・

総合評価★★★☆☆ (★5が最高)

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ゴーゴー・インド
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by cafe_europa | 2004-03-07 16:32 | other books

【街道を行く5・モンゴル紀行】司馬遼太郎   

2004年 02月 15日

a0002942_155651.jpg初めて読んだのは中学校の国語の教科書で、「星の草原」の章だった。星を見に海外へ行くとすると平均的に北欧とかの地名が聞かれるが、この教科書を読んだ私達は皆モンゴルと言ったものだ。司馬遼太郎がモンゴルに深い憧れがあったのは有名な話だが、文中、彼の踊るような心が伝わってくるようだ。この紀行で出来た作品が【草原の記】。彼の通訳&ガイド役であった女性を語った小説。氏の温かい言葉で女性の半生が綴られている。司馬遼太郎ファンなら是非読んで欲しい一冊。

総合評価★★★★★(★5が最高)

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街道を行く5/モンゴル紀行
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by cafe_europa | 2004-02-15 16:35 | other books