周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵の適塾で蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。(「BOOK」データベースより)幕末の動乱を駆け抜けた実務家、大村益次郎の波乱の生涯。司馬遼太郎氏は数ある著書ごとに様々な切り口で幕末を描いているが、本書では「技術者」の角度で大村益次郎の合理的思考と長州の狂信熱との対比が鮮やかで、物語をより生き生きとさせている。
主人公は天性の無愛想で無口、福沢諭吉の若年に見せる才走った軽佻さとは一線を画した難物。宇和島藩、会津藩、幕府と彼の才知を見込んで引く手数多だったのを振り切って彼は故郷、長州藩へ身分を移すが、危機に瀕するまでの長州は彼に対して「雇士」の扱いを変えず冷淡であった。長州が京を追われ攘夷志士が都落ちする中、逃亡中の桂小五郎(後の木戸孝允)から相談をもちかけられ、主人公は桂から信頼されたことに胸をふるわせて感動するくだりは感慨深い。高杉晋作や久坂玄瑞ら藩の高官達の方がよほど桂と親交があったことを考えると、主人公の感動の熱はよほど高い温度であったに違いない。
それを転機に時勢は彼を歴史の舞台にひきあげ、軍務大臣として幕末に躍り出る。幕末風雲児の中では異色の人物像だが、司馬遼太郎氏だからこそ、ここまで描き出だせたのではないだろうか。
総合評価★★★★☆(★5が最高)
書籍情報
花神・上巻
花神・中巻
花神・下巻
内に人心荒廃し、外に中華思想を振りかざす清朝末期。産業革命後の英国新興資本は、市場を求める中国進出を企ていた。“阿片を認めるか否か”——暴利と保身に詭計をめぐらす特権商人、官僚達の渦中に、国を憂う清廉潔白な実力官吏林則徐と豪商連維材がいた。近代中国黎明のうねりを活写する大河小説。
ルネサンス期、初めてイタリア統一の野望をいただいた一人の若者・・・父である法王アレッサンドロ六世の教会勢力を背景に、弟妹を利用し、妻方のフランス王ルイ十二世の全面的援助を受け、自分の王国を創立しようとする。熟練した戦略家たちもかなわなかった彼の"優雅なる冷酷"とは。<毒を盛る男>として歴史に名を残したマキアヴェリズムの体現者、チェーザレ・ボルジアの生涯(「BOOK」データベースより)
「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさ」と、勝海舟はいった。坂本竜馬は幕末維新史上の奇蹟といわれる。かれは土佐の郷士の次男坊にすぎず、しかも浪人の身でありながらこの大動乱期に卓抜した仕事をなしえた。竜馬の劇的な生涯を中心に、同じ時代をひたむきに生きた若者たちを描く長篇小説。
大河ドラマ狙いで新撰組の話をふたつ。
時は12世紀。僚(カラ・キタイ)の皇族、耶律大石が自国の滅亡を予感し、主人公の青年、陶羽を西に派遣することから物語は始まる。マニ教弾圧の中、西に僚を、マニ教を生かす道を探るために仲間は増え、一行はイスラム教シーア派の暗殺集団の集落アラムートへと辿り着き…
