【ネシャン・サーガ/ヨナタンと伝説の杖】ラルフ・イーザヴ   

2004年 03月 25日

a0002942_11929.jpgネシャン北域の森で、少年は謎めいた杖を発見する。青い光を発する杖を握ると、五感はとぎすまされ、記憶や感情を伝える力まで強まるようだ。これは涙の地ネシャンを解き放つ伝説の杖ハシェベトなのか?エンデが見いだした本格ファンタジー作家が放つ少年たちの地の果てへの旅。(「BOOK」データベースより)

ネシャン・サーガは【ヨナタンと伝説の杖】【第七代裁き司の謎】【裁き司最後の戦い】と続く3部作のファンタジーである。ファンタジーというと、ファンタジーの舞台となる世界へ主人公が移動して冒険するもの(例えば【ナルニアものがたり】【ハリー・ポッター】)、もしくはファンタジーの世界のみが語られる場合(【指輪物語】【神の守り人】)に分かれるが、ネシャン・サーガの一風変わったところは現実世界とファンタジー世界にそれぞれの主人公がおり、使命の為に命で繋がっている「もうひとりの自分」なのだ。物語の始めはよく似た二人の主人公ジョナサンとヨナタン、交互に世界が切り替わるので慣れないとちょっととまどうかもしれない。どちらも夢の中で、もう一つの世界の兄弟を見ているのだが、あるきっかけで片方の世界にあった笛がもうひとつの世界に移動したことから、二人はどうやらただの夢ではないことを悟る。

物語はキーアイテムとしてのハシェベトの杖と杖に課せられた使命をもとに、世界の解放、楽園世界への移行を目指して流れていくが、読んでいるとどこかで読んだような既視感を強く覚える。【ナルニアものがたり】【指輪物語】あたりの王道ファンタジーを読まれた方はお分かりかと思うが、これらの名作をなぞって話が構成されているのだ。残念ながら新しさも創造も全く感じられず、名作を模倣した優等生の秀作という仕上がりだ。ただし、優等生だけあって資料の下調べや、文章の緻密さは立派なものであるが。
加えて物語はキリスト教条的世界観として氏の創造の筆が運ばれているわけだが、これがかなり説教臭い。希薄な宗教観、他宗教の読者にかなりおせっかいなでしゃばりさで語ってきて、うるさい感じを受ける。キリスト教条的ファンタジーであるから物語は愛と友情の物語だが、おなじ題材でも 【ライラの冒険シリーズ】のレベルを考えるとやはりどれをとっても今ひとつという観がぬぐえない。帯のコピーなどではエンデの名前まで担ぎだして煽っているようだが、いかがなものかと思うが。

総合評価★★☆☆☆(★5が最高)

■書籍情報
ネシャン・サーガ/ヨナタンと伝説の杖
ネシャン・サーガ/第七代裁き司の謎
ネシャン・サーガ/裁き司最後の戦い
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by cafe_europa | 2004-03-25 11:08 | Children's books

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