【サブリエル/冥界の扉】ガース・ニクス   

2004年 04月 25日

a0002942_132654.jpg大死霊に捉えられた父親を助け出すために、18歳のサブリエルは単身、古王国に乗り込んだ。冥界から蘇った死霊たちがはびこる古王国で彼女を待ち受けていた運命とは…。オーストラリア、米国で話題になったファンタジー。(「MARC」データベースより)

19世紀イギリスをモチーフにした普通の人の世界<アンセルスティエール>と魔法が存在する壁ひとつ隔てた<古王国>。ファンタジーとはいってもモチーフが死霊や冥界なので全体的にホラーに近い暗さがあるが、所々舞台や話が切り替わる驚くような明るさや輝きが感じられる。アブホーセンの館の様子はモノクロ世界が急にフルカラーになったような鮮やかさだ。物語のキーになる<チャーター魔法>も描かれ方も暗闇の中で輝く光のように印象的だ。

ともすれば重たくなりがちな内容であるが、登場人物のキャラクター性もうまくテンポにのせている。主人公のお供のモゲットは辛辣で辛口な猫で、この猫の皮肉がまた小気味よく面白い。しかし、この姿はチャーター魔法がかけられた首輪で拘束されたフリーマジックの化物なので一筋縄ではいかない。
主人公は卒業間近に控えた女子高の優秀な監督生で、キビキビと冒険を進めていく。父親が行方不明になって古王国に乗り込んでから自らの未熟さを学び、急速に大人になっていく。父親との最期の別れの場面は、あまりにも急いで死霊を鎮める者<アブホーセン>にならざるを得なかった主人公の悲しみがあり、切なくなる。

本書【サブリエル/冥界の扉】は古王国記三部作の一作目にあたり、現在二作目の【ライラエル/氷の迷宮・古王国記2】までが刊行されている。

総合評価★★★★☆(★5が最高)

■書籍情報
サブリエル/冥界の扉
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by cafe_europa | 2004-04-25 13:27 | Fantsy

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