【コブラの眼・上下巻】リチャード・プレストン   

2004年 05月 18日

a0002942_03458.jpg孤独なテロリストの武器は、遺伝子操作で作られた恐るべきウイルスだった…。衝撃のベストセラー「ホット・ゾーン」から3年を経てプレストンが放つ、エボラ・ウイルスを超えた戦慄。(「MARC」データベースより)

バイオハザード・サスペンスもの。前作【ホット・ゾーン】を映画などでご存知の方もいるのではないだろうか。【ホット・ゾーン】ではエボラウィルス災禍のノンフィクションでかなり内容も深く面白かったが、今回の【コブラの眼】はフィクションではあるが、前作の現実を遥かに越えた怖さとスリリングがある。
本書で出現するコブラと呼ばれるウィルスは、自然界に存在するいくつかの遺伝子を掛け合わせ、兵器として人工的に作られた新種のウィルス。このウィルスが合衆国都市部で、誰かが人為的にバラ蒔いている怖さといったらない。
この手の小説はあまり語るとネタバレになるのでアレだが、帯のコピーに「自分を食べているぞ」とある通り、コブラウィルスに罹患した人々が自らを噛み千切り、血飛沫をあげて痙攣し、死に至る様はウィルスの見せる悪夢そのものだ。

クライマックスで追いつめられた犯人が主人公を罵倒する。
「め、雌豚、FBIの雌豚」
「お生憎さま。あたしは公衆衛生医よ」
主人公アリスの切り返し方が鮮やかで、このセリフを鮮烈にするための伏線が効いている。読者はハラハラドキドキしながら悪夢のウィルスの恐怖を味わい、彼女のセリフで胸がすくような救いを感じるだろう。

しかし最終章「宿主」では事件が解決した後、3歳の少年がある症状をあらわして病院で死亡する。このことは、バイオテロに始まるウィルスの危険はフィクションの世界だけではなく、現実の我々の生活の上にも悪夢のはじまりがありうることを暗示している。
その意味でも、本書では真の意味で「怖い」小説ではないだろうか。
できればこの作家、前作の【ホット・ゾーン】でのノンフィクションの恐怖を味わってから、じっくりと読みかかって欲しい1冊。

総合評価★★★★★(★5が最高)

■書籍情報
コブラの眼・上巻
コブラの眼・下巻
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by cafe_europa | 2004-05-18 00:34 | novels

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