【桃源郷 上下巻】陳舜臣   

2004年 02月 08日

a0002942_1670.jpg時は12世紀。僚(カラ・キタイ)の皇族、耶律大石が自国の滅亡を予感し、主人公の青年、陶羽を西に派遣することから物語は始まる。マニ教弾圧の中、西に僚を、マニ教を生かす道を探るために仲間は増え、一行はイスラム教シーア派の暗殺集団の集落アラムートへと辿り着き…

陳舜臣の作品としては、異色の分類に入るのではないだろうか。物語としては歴史小説になるが、物語の下地にマニ教が敷かれており、本当の宗教とはなにか、真理とはなにかと常に問いかけている。
「…わしは仏教じゃ、わしはイスラムじゃ、いやキリストじゃと、これも大声でなくつぶやいている間に、その名を捨てるのが理想ではあるまいか」(本文抜粋)
主人公の仲間も職業、国籍、宗教も様々だ。生い立ちもなにもかも違う彼等は旅のなかでマニ教という共通項を得て、最後は「マニ教」という名前を捨てるに至る。宗教対立が現在も続く中、この物語が扱うテーマは現代にも通じるものである。

とはいえ、歴史小説と思って読むひとにはちょっとつらい内容かもしれない。どちらかといえば宗教小説に近い。
題材としては非常に興味をそそられるが、色んな要素を詰め込みすぎた感じがする。それでもきちんとまとめられているのは陳舜臣氏の力量のすばらしさだろう。

総合評価★★☆☆☆(★5個が最高)

■書籍情報
桃源郷/西遷編・上巻
桃源郷/東帰編・下巻
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by cafe_europa | 2004-02-08 17:31 | History

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